相続した家を売却する流れを解説
家を相続した際に、場合によっては売却を検討することもあるかもしれません。しかし、相続した家を売却する流れを知っておかないと、売却に苦戦することでしょう。そこで今回は、相続した家の売却の流れや、売却時の注意点をまとめて解説します。本記事を参考に、後悔のない不動産売却をしてください。
相続した家を売却する際の流れ
相続した家を売却するには、複数の手順を経る必要があります。
相続が発生する
相続は、被相続人(故人)の死亡によって発生します。多くの家庭では葬儀を終え、四十九日の法要を行った後に「遺産分割協議」が行われます。
遺産分割協議とは、相続人同士で被相続人の財産をどのように分配するかを話し合うプロセスです。この時点で家を誰が相続するかも決定されます。
遺産分割協議を実施する
被相続人が遺言書を残している場合、その内容に従って財産分配を行うのが原則です。一方、遺言書がない場合は相続人全員で協議を行い、財産の分け方を合意します。
協議が成立するまでの間、相続財産は相続人全員の共有財産とされます。相続人全員が合意すれば、遺言書とは異なる分配も可能です。協議の進行役は特定の人でなくても構いません。
名義変更(相続登記)の実施
遺産分割協議で家の相続人が決定したら、法務局で所有権の名義を被相続人から相続人に変更します。この手続きは「相続登記」と呼ばれ、家を売却する際には必須です。名義変更をしないまま放置すると、他の相続人とのトラブルや第三者への譲渡問題が発生する恐れがあります。
手続きは平日のみ対応の法務局で行われるため、早めの準備が必要です。複雑な場合には司法書士に依頼することも一般的です。
不動産業者への依頼
相続登記が完了したら、不動産業者を通じて売却の手続きを進めます。業者との媒介契約には以下の3種類があります。
・専属専任媒介契約:不動産業者が積極的に買い手を探しますが、依頼者が直接契約することはできません。1週間に1回以上の進捗報告が義務付けられています。
・専任媒介契約:依頼者が買い手を見つけた場合、業者を介さず契約が可能です。進捗報告は2週間に1回以上行われます。
・一般媒介契約:複数業者に依頼可能で自由度が高いです。しかし、進捗報告義務がなく、買い手が見つかるまで時間がかかることがあります。
物件調査の実施
不動産業者が媒介契約を締結すると、物件調査を行い価格を決定します。調査内容は、土地や建物の面積、築年数、使用状況、周辺市場の状況など多岐にわたります。これにより、売却価格が適正に設定されるのです。
売買契約の締結
買い手が見つかったら、売買契約を締結します。契約当日は、売り手と買い手の顔合わせ、不動産の説明、売買契約書の確認・記入・押印、手付金の受け取りの流れで手続きを行います。そして不明点がある場合は、その場で確認してトラブルを防ぎましょう。
残金決済と引き渡し
残金決済は手付金以外の支払いを指し、通常、物件の引き渡し日に行われます。支払い内容には固定資産税、登記費用、仲介手数料が含まれます。売り手、買い手、不動産業者、司法書士などが集まるので、正確に確認しながら手続きを進めましょう。
物件の引き渡し
物件の鍵や設備説明書を準備し、きれいな状態で引き渡します。電気・水道・ガスの契約解除や引っ越しも済ませておきましょう。引き渡しは法務局や銀行の都合で平日に行われることが一般的です。
相続した家を売却する際の注意点
相続した家を売却する際は、税金やトラブルを避けるために以下の注意点を押さえる必要があります。
3年以内の売却を目指す
まず、3年以内の売却を目指しましょう。取得費加算の特例や相続空き家の3,000万円特別控除を利用するには、相続から3年以内の売却が条件です。
相続不動産の売却に強い会社を見極める
不動産会社の選定も重要で、相続不動産の売却に強い会社を見極める必要があります。共有名義の家を売却する場合は共有者全員の同意が必要なので、最低売却価格を事前に決めるとスムーズです。
売買契約書を探す
相続不動産の取得費は親の購入額を引き継ぐため、売買契約書を探す必要があります。所有期間も親から引き継がれ、5年を超えると税率が低くなる長期譲渡所得が適用されます。また、単独登記型での売却は贈与とみなされないよう、遺産分割協議書で換価分割目的を明記しておくことが重要です。
節税対策を確認する
さらに、相続した家に居住している場合とそうでない場合では、利用できる税金特例が異なり、節税対策が変わります。取得費が分からない場合には、販売ディベロッパーや仲介業者から資料を入手したり、通帳の出金履歴や抵当権設定額を基に推測することができます。これらの情報は税務署に相談して確認しておくと安心です。
まとめ
相続した家を売却する際は、手続きや注意点をしっかり把握しておくことが重要です。相続発生後、遺産分割協議や相続登記を経て、不動産業者に依頼し、物件調査を行った後、売買契約を締結します。また、税金やトラブルを避けるために、3年以内の売却を目指す、相続不動産に強い不動産会社を選ぶ、売買契約書を探すなどのポイントを押さえることが大切です。適切な節税対策や取得費の確認を行い、後悔のない売却を目指しましょう。