家を売る際は、適切なタイミングや手順で売却を行わないと損をするかもしれないことをご存じですか。家には「売ると損をする状態」があります。その状態を把握し、かつ適切なタイミングにコツを押さえて家の売却を行うことが大切です。本記事を参考に、家や不動産の売却を具体的に検討してみてください。

家を売って損をする状態とは

まずは、家を売る際に「損をする」とはどのような状態を指すのかについて、具体的なケースを挙げながら解説します。「損」と感じる理由には以下の3つの主なパターンがあります。

譲渡損失が発生する場合

家の取得費用と売却に必要な諸費用が、売却価格を上回る場合を指します。たとえば、家を4,000万円で購入し、売却費用が300万円かかった場合、売却価格が3,000万円なら1,300万円の損失となります。しかし、この損失だけでは正確に判断できません。

20年間その家に暮らした場合、賃貸住宅で家賃が10万円だったなら2,400万円が必要となり、結果的に家を所有していた方が経済的メリットが大きい場合もあります。また、建物の価値は時間の経過とともに下がります。そのため、譲渡損失が発生しても必ずしも「損」とは限らないのです。

住宅ローンを完済できない場合

住宅ローンが残った状態で家を売却する場合、売却価格が残債を下回ると「損をする」状態となります。この場合、売却価格を相場より下げざるを得ないことが多く、さらに差額を貯金などで補填する必要が出てきます。

住宅ローンの残債があると、買い手を見つけるのも困難になりやすいです。そのため、資産の減少を避けるためにもローン残債をしっかり管理し、売却のタイミングを計ることが重要です。

相場より安い価格で売却する場合

家の本来の価値が4,000万円であるにもかかわらず、3,000万円で売却してしまうケースでは1,000万円の損失が発生します。不動産市場は需要と供給のバランスに左右されるため、適切なタイミングで売却しましょう。

また、信頼できる不動産会社を利用することで損失を回避できる可能性があります。これらのことから、価格設定の工夫や市場調査を行うことが大切です。

損をせずに家を売却できるタイミング

家を売る際に損をしないためには「いつ売るか」というタイミングが重要です。売却時期を見誤ると損失が大きくなる一方で、最適なタイミングで売ることで相場以上の価格で売却できる可能性もあります。タイミングに関する具体的なポイントを以下にまとめます。

不動産相場を確認する

不動産市場には相場があります。国土交通省が発表する「不動産価格指数」を参考にして売却のタイミングを計りましょう。相場が上昇しているときは売却を遅らせることで高値で売れる可能性があり、逆に相場が下落している場合は早めに売却を決断するのがセオリーです。

相場が横ばいのときは、希望額で売れるよう時間をかけて交渉を進めます。ただし、相場は変動するため、あくまで判断基準の一つとしてください。

築年数による価値変動

住宅は築年数が増えるほど建物自体の価値が下がるため、築15年未満の物件は早めの売却が望ましいです。一方で築15年以上の戸建ては建物の価値がほぼ下がりきっており、土地の価値に依存するため、急いで売る必要はありません。不動産相場を確認しながらじっくりと売却準備を進めましょう。

需要が高いタイミングを狙う

住宅の売却価格には需要と供給のバランスが大きく影響します。特に日本では転勤や進学が多い3月前後が買い手の需要が高く、相場よりも高値で売れる可能性があります。1〜2月のうちに不動産会社を選定し、準備を進めることがポイントです。

ライフスタイルの変化に対応する

転勤や通勤時間の増加などで生活に支障が出る場合、金銭的な損失を受け入れてでも売却を検討すべきです。心理的な負担を軽減することで生活の質を高めることが可能です。

一方、転職や独立の場合は、住宅ローンの審査が通りにくく、賃貸の入居審査も難しくなるため慎重に検討する必要があります。新しい住まいを確保してから売却を進めましょう。

家の売却時に損をしないためのコツ

家を売る際に損をしないためには、タイミングだけでなくさまざまな工夫が必要です。以下にその具体的なポイントをまとめます。

不動産売買の知識を身につける

不動産売却時には不動産会社を通じて契約しますが、知識が全くないと不動産会社に全てを任せることになります。そのため、悪徳業者に依頼してしまうと不利益を被る可能性があります。

そのため、不動産売買の基本的な流れや手続き方法をWebサイトなどで学び、さらに専門家や地元の信頼できる業者に相談することが大切です。

売却にかかる費用を把握する

売却価格はそのまま手元に入るわけではなく、仲介手数料や印紙税などの費用が発生します。また、住宅ローンの残債がある場合は、売却益で完済できるか確認が必要です。これらの費用を事前に算出することで、実際に得られる金額を明確にし、予期せぬ「損」を感じることを防げます。

複数の不動産会社に査定依頼をする

自分の家の価値を正確に把握するためには、複数の不動産会社に査定を依頼し、比較することが重要です。1社だけに依頼すると、不当な価格提示を受けても判断できません。査定価格の高さだけで業者を選ぶのではなく、信頼できる業者を選び、契約を進めることが大切です。

内覧前の徹底した清掃

家を購入したいと思ってもらうためには、内覧時の印象が重要です。部屋を清潔に保つことで「ここで暮らしたい」と感じてもらえます。特に水回りや目立つ汚れは重点的に清掃し、必要であればハウスクリーニングを利用するのも有効です。

不要なものを処分し、部屋を広く見せる工夫もポイントです。

住宅ローンを完済できるように売却する

住宅ローンの残債がある場合、ローンを完済できる価格で売却を目指しましょう。どうしても足りない場合には、貯金で補填するか「住み替えローン」を利用する方法もあります。ただし、住み替えローンは借入額が大きくなるため、無理のない返済計画を立てることが重要です。

まとめ

家を売る際に損をしないためには、適切なタイミングを見極め、手順や工夫を怠らないことが重要です。「譲渡損失」「住宅ローン残債」「相場より低い売却額」など、損失のリスクを把握し、不動産売買の知識を身につけておくことが第一歩です。また、売却費用を事前に算出し、複数の不動産会社から査定を受けて相場を確認することで、不当な価格での売却を防ぎます。さらに、内覧時の印象を良くするための清掃や整理、住宅ローン完済を目指した計画的な売却も重要です。需要が高まる時期や築年数による価値変動を考慮して適切なタイミングを選べば、より高い価格での売却も可能です。信頼できる専門家とともに、損をしない家の売却を実現しましょう。

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