住宅の住み替えにおいてよくあるきっかけと手順
何らかの理由で、住宅の住み替えを検討することがあるかもしれません。しかし、住宅の売却や購入の際は大きな金額が動く上に手続きは煩雑です。そのため、住み替えの手順やコツを理解していないと、住み替えに失敗したり後悔する結果につながるかもしれません。そこで今回は、住宅の住み替えにスポットを当てて詳しく解説します。
住み替えを検討する際によくあるきっかけ
住み替えを検討するきっかけはさまざまです。その内容を順番に見ていきましょう。
住環境に対する不満
まず、現住居に不満を感じた場合です。転勤による通勤時間の増加や子どもが遊べる場所の不足、老後の生活に対する不安が大きな要因となります。とくに高齢者の場合、階段の上り下りや立地条件に不便を感じ、より便利な場所に移りたいと考えることが多いです。また、子どもが独立した後や成長により部屋数が足りなくなる場合も、住み替えを考えるきっかけになります。
老後の生活に対する不安
次に、老後の生活に対する不安から住み替えを考える場合もあります。とくに戸建て住宅では、子どもが独立した後に家が広すぎて管理が大変になり、公共交通機関や買い物施設が遠くて不便に感じることが多くなります。
団地などであれば公共交通機関が近いものの、スーパーなどの日常的な買い物施設が遠いことが不便に感じる場合もあるでしょう。これらの不満を解消するために、立地が便利なマンションへの住み替えが選ばれることが多いです。
家の価値の低下
また、家の価値が下がってきたと感じることも住み替えのきっかけとなります。住宅は年数が経つにつれ劣化し、その価値が下がります。マンションの場合は約10年、戸建ての場合は約20年で価値が下がるとされています。住み替えを計画している場合、現在の家をできるだけ高く売るためにも早めに行動することが望ましいです。
住み替えの手順
住み替えの流れとしては、売却と購入のプロセスを並行して行う必要があります。まず、住まいの売却から始めましょう。
住まいの売却の流れ
まず不動産会社に相談し、売却理由や目的、希望価格、売却時期などを話し合います。最近では、電話やメール、テレビ会議などオンラインでの対応も増えています。複数の不動産会社に相談し、慎重に選ぶことが大切です。
次に、不動産会社が売却予定の住まいを査定します。査定方法には「簡易査定」と「現地査定」があります。簡易査定は物件情報や相場を基に計算し、現地査定は実際に現地を見て価格を決めます。査定が終わったら、売却を進めるために不動産会社と媒介契約を結ぶ流れです。
契約には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」があり、それぞれメリット・デメリットがあります。たとえば、一般媒介契約は複数の会社と契約できますが、手間がかかる場合があります。
そして、不動産会社がポータルサイトやチラシ配布などを通じて販売活動を行いましょう。購入希望者が現れると、内覧を実施します。空室の場合は売主が立会わず、不動産会社のみで内覧を行うことも可能です。そして購入希望者が決まると、売買契約に進みます。
この段階で、売却価格や引渡し時期などの詳細を詰め、重要事項説明が行われます。最後に、決済日には残代金の受領や固定資産税の清算、所有権移転登記などが行われる流れです。書類と鍵の引渡しも行い、売却手続きが完了します。
住まいの購入の流れ
新しい住まいの購入は、次の流れで進めます。まず、購入前に資金計画や希望条件を整理し、不動産会社と相談します。インターネットで物件情報を収集できますが、不動産取引にはプロの知識が必要なため、専門家に相談することが重要です。プロのアドバイスを受けることで、より適切な物件選びが可能になります。
次に、希望する条件に合った物件を絞り込みます。物件の状態や周辺環境、交通の利便性など、確認すべきポイントを事前に整理しておくことが大切です。条件に合った物件が見つかれば、さらに詳細な確認を行い、購入に向けた準備を進めます。
住み替えを成功させるためのコツ
住み替えは大きな金額が動くため、後悔しないための慎重な計画が重要です。以下のポイントを押さえて、後悔しない住み替えを実現しましょう。
不動産取引が活発な時期を狙う
春は不動産取引が活発で、売却しやすい時期です。人の移動が多く需要が高まるため、春に売却したい場合は、年末から準備を始めることをおすすめします。売却手続きには時間がかかるため、早めに行動を開始することが大切です。
住み替えの目的を整理し、計画を立てる
次に、住み替えの目的に合わせて、計画的に行動することが必要です。たとえば、子どもの進学や転勤が理由の場合、引っ越しのタイミングを逆算して売却と購入のスケジュールを組みましょう。急な転勤の場合は、買い先行で転居後に売却活動を行う方法もあります。
減税措置をチェックする
住み替えに際しては、譲渡所得控除や損失の損益通算、買い換え特例などの減税措置があります。これらを利用することで、経済的負担を軽減できます。事前に適用可能な減税措置を確認し、最適な方法を選びましょう。
まとめ
住宅の住み替えは、さまざまなきっかけや理由から検討される大きな決断です。住環境の不満や老後の不安、家の価値低下などが主な理由となり、売却と購入の手続きを並行して進める必要があります。成功するためには、売却時期の見極めや住み替えの目的に合わせた計画が重要です。また、減税措置を活用することで経済的負担を軽減できます。慎重に準備し、専門家のアドバイスを受けながら進めることが、後悔のない住み替えを実現する鍵となります。